ワンちゃんの越冬に!注意したい病気や怪我10選
寒い冬の季節にはワンちゃんも体調を崩しやすいものです。今回は越冬する時期に起こりやすい健康トラブルをご紹介します。また、注意したい10の病気や怪我についても解説します。飼い主さんが事前に知識を持っていれば、きちんと注意をし、必要なケアをしてあげることができるでしょう。ワンちゃんの健康を保つことは飼い主さんの責任です。ぜひ参考にしてください。
越冬の時期に健康トラブルが起こりやすい原因とは?
「冬になると必ずと言っていいほど体調を崩してしまう」と、ワンちゃんの体調不良に悩んでいる飼い主さんは少なくありません。悩みを解決するためには、ワンちゃんが体調を崩してしまう原因を探ることが大切です。原因がわかれば対策をすることができるでしょう。
それでは早速、冬の時期に起こりやすい健康トラブルの原因について解説していきます。ぜひ参考にしてください。
空気の乾燥によりウイルスが発生しやすい
冬は空気中の水蒸気量が減るため湿度が低くなり、空気が乾燥します。空気が乾燥するとウイルスは活発になり広い範囲で飛散します。
湿度と気温が低いと、ひともワンちゃんも体温が下がると同時に、ウイルスに対しての抵抗力も下がってしまいます。乾燥した空気の中で呼吸していると、のどや鼻の粘膜のバリア機能が低下し、ウイルスが侵入するため、体調が悪くなるというわけです。
室内の最適湿度は40%から60%です。暖房器具を使うと、部屋の空気が乾燥して湿度が低くなるため、加湿器の併用や洗濯物を室内干しするなどして湿度を上げる工夫をしましょう。湿度を保つことで乾燥を避けることができます。
ワンちゃんは体温調節のためにパンディングをします。ハアハアと口を大きく開けるため、口腔内にウイルスが入りやすい状態といえます。ワンちゃんがパンディングをしているときは、部屋の温度が上がり過ぎていないかどうか気をつけてみてください。
お水を飲む量が減る
夏とは違い、冬は体温を下げようとすることが少なくなります。体温を調節する必要性がなくなるため、お水を飲む量が減るのです。
しかし水分を摂らなくなると、体内で水分が巡りにくくなり、酸素や栄養素、老廃物を適切に運ぶことができなくなってしまいます。これは体調不良の原因を作るもととなるのです。
ワンちゃんが冬の時期にお水を飲まなくなる理由のひとつとして、お水を飲む場所が寒いからということも考えられます。置き場所が極端に寒くないかを確認してみてください。
シニア犬や足腰に疾患があるワンちゃんの水飲み場は、普段リラックスして過ごしている場所の近くにし、いつでも新鮮なお水が飲めるようにしておいてください。
運動不足になりがち
温かい室内でのんびり過ごしたいのは、ワンちゃんも同じでしょう。寒さを感じると、暖房器具の近くでくつろいでみたり、ベッドで丸まって寝ていたりと、どうしても運動不足になりがちなのはひとと同じですよね。
そういうときは室内でもできるボール遊びなどでワンちゃんを誘い、飼い主さんも一緒に楽しんでください。飼い主さんが楽しそうにしていれば、ワンちゃんはよろこんで遊ぶはずです。
冬の時期、ワンちゃんに起こりやすいトラブル10選
それでは、冬の時期にワンちゃんに起こりやすい健康トラブルを10選ご紹介していきます。
1)乾燥によって起こる「肉球のダメージ」
ワンちゃんの肉球は、滑らずに歩く、衝撃から足を守る、体温調節といった3つの役割を持っています。
ワンちゃんの肉球は冷たさを感じると、自律神経が働いて血流量が増え、凍傷を防ぐことができます。雪道や凍ったアスファルトの上を素足で歩いても平気なのは、このような特性があるからなのです。
それでも肉球が薄いために冷たさを強く感じるワンちゃんもいます。肉球が薄いワンちゃんは凍傷になりやすく、肉球にダメージを受けてしまいがちです。
元々肉球が薄いワンちゃんや、ひび割れが目立っているワンちゃんには、ドッグシューズを履かせたり、フットパッドを付けたりすると、冷たさを感じにくくさせてあげることができます。
外から帰ってきた後は清潔にすることが大切です。また、寝る前に肉球用のクリームを塗ってケアしてあげることをおすすめします。
2)室温と外気温の差で起きる「ヒートショック」
温まった部屋とそれ以外の部屋の温度があまりにも違い過ぎて、心臓や血管に疾患をきたすヒートショックは、ひとにだけ起きてしまうものではありません。
昨今では室内の快適な空間で飼われているワンちゃんが多く、猛暑や極寒の時期に外に出たがらないワンちゃんもいますよね。
急に冷える冬は、ワンちゃんも全身の血管が収縮するため、血圧が上昇し、心臓に大きな負担がかかります。心臓に疾患のあるワンちゃんは症状が悪化して、突然死に至る可能性が高くなるので特に注意が必要です。
一年で最も平均気温が下がるのは2月です。寒いからといって室温を上げ過ぎず、外気温との差に注意するようにしましょう。
3)空気の乾燥による「ウイルス感染症」
冬は空気の乾燥と低気温により、ウイルスが飛散しやすくなります。さらに体温が下がるため、体の免疫力が低下しがちです。
空気が乾燥すると同時に、冬はワンちゃんも体調を崩しやすくなるため、ウイルスが体内に入ってしまうことがあります。鼻や喉の粘膜のバリア機能が低下すると、下痢や嘔吐を繰り返す胃腸炎や、ジステンパー、ケンネルコフといった呼吸器系の疾患にかかる確率が上がります。
下痢や嘔吐が続く場合は、脱水になってしまうため、早めに動物病院で診てもらうべきです。
ジステンパーやケンネルコフは激しい咳が出るようになり、気管支炎や肺に炎症をきたし、命に関わることもありえます。どちらの疾患もワクチン接種で予防が可能なので、年に一度のワクチン
接種を忘れてはいけません。
4)水分不足による「脱水症状」と「泌尿器のトラブル」
冬は寒さを感じるため、お水を飲む量が少なくなるワンちゃんは多いでしょう。しかし、水分が不足すると「脱水」を引き起こすことにつながってしまいます。
脱水症状は、パンディングが多くなる、目がうつろになるといった症状がみられます。危険な状態になる前に水分を摂取させてください。
お水は体内の老廃物を腎臓に運ぶという大切な役割を担っているため、摂取量が少なくなるとおしっこの回数が減ってしまい、体内の細菌がとどまったままになってしまいます。
膀胱内で菌が繁殖し続けると、泌尿器のトラブルが起こりやすくなります。
水分が不足することで起こりうる泌尿器のトラブルで特に多いのは、「膀胱炎」と「尿結石」です。では、膀胱炎と尿結石について簡単に解説していきますね。
膀胱炎
膀胱炎になっているときにワンちゃんが起こす行動は、以下のことが挙げられます。
・おしっこを出すときに痛そうにしている
・おしっこを出すときに「キャン」と鳴く
・おしっこの臭いがきつい
・おしっこの回数が増える
・血尿が出る
これらの行動が見られた場合は膀胱炎になっている可能性が高いです。早めに動物病院を受診してください。
尿結石
尿結石になったワンちゃんにも膀胱炎と同じような症状がみられます。ワンちゃんの様子がおかしいなと思ったら、動物病院を受診してください。獣医師による触診、レントゲン検査で診断されます。結石が小さなうちならば、お薬の服用や食事療法で完治することもあります。大きな結石の場合は外科的な処置が必要になり、結石を取り除くための手術を受けるようになります。
5)服を着せたままで起きる「皮膚炎」
寒さに弱い小型犬やシニアのワンちゃんには、服を着せるという飼い主さんは多いでしょう。かわいらしい服を着てお散歩しているワンちゃんもたくさんいますよね。
ただし、長時間着せたままにしていると、汗をかかないワンちゃんの皮膚は通気性が悪いことにより蒸れてしまいます。皮膚が赤くただれたり、毛玉ができたりすることもあるため、一日のうちに数回は服を脱がせてブラッシングをし、皮膚の通気性をよくしてあげてください。
6)脂肪を溜め込むことで起きる「肥満」
ひともワンちゃんも、寒さをしのぐため体内に脂肪を蓄えるという性質があります。
さらに昨今では、室内の快適な環境で飼われているワンちゃんが多いため、夏や冬の時期にお散歩を拒否するワンちゃんもいますよね。脂肪を蓄えたまま、さらに運動不足になると、肥満に繋がります。
ワンちゃんも肥満になると、心臓病・糖尿病・関節疾患などにかかるリスクが高まります。飼い主さんができることは適度な運動をさせることと体重管理です。ワンちゃんが元気で過ごせるように気をつけましょう。
7)体を動かすことが減るために起きる「関節疾患」
寒くて体を動かさないでいると、肥満の傾向が強くなるため、足腰への負担が大きくなります。また、血流が悪くなったり、筋力が硬くなったりもします。体が鈍った状態のまま急に動く、走るなどすると、足腰の関節を傷めてしまいがちです。
寒い時期の運動不足を避けるため、室内でもボール遊びなどをして、ワンちゃんが体を動かすようにするのも飼い主さんの責任といえるでしょう。
8)積雪で足元が見えにくいことで起きる「落下・誤飲」
雪が積もり、地面が見えなくなっているときのお散歩は注意が必要です。蓋がされていない排水溝などにワンちゃんが落ちてしまうこともあります。
また、雪に埋もれている食べ物やタバコの吸い殻を誤飲をしてしまうワンちゃんも少なくありません。普段から拾い食べをしてしまうワンちゃんは特に気をつけてください。
さらに、雪のたくさん降る地域では、融雪剤や凍結防止剤を使ってアスファルトの雪や氷を溶かすために散布することが多いものです。
しかし、融雪剤や凍結防止剤を含んだ雪をワンちゃんがうっかり食べたり、舐めたりしてしまうと大変危険です。消化器官が中毒を起こして下痢や嘔吐を起こすことがあります。直接お口に含まなくても、肉球に付着したものを舐めることでそのような症状を起こすワンちゃんもいます。
お散歩から帰った後にワンちゃんがぐったりしている、吐いてしまうなど、様子がおかしいときは、すぐに動物病院へ連絡をして事情を説明し、判断をあおぎましょう。
雪道を歩いてきた後は、ぬるま湯で肉球を洗ってあげることをおすすめします。そして、肉球を乾燥から守るために肉球クリームを塗ってケアをしてあげてください。
9)暖房器具による「低温やけど」
暖房器具の前で暖を取るワンちゃん、かわいいですよね。しかし、ストーブやファンヒーターにワンちゃんが近づきすぎない工夫が必要です。暖房器具を四方囲むようなガードをつけるようにしましょう。
また、ホットカーペットやワンちゃん専用の湯たんぽを使う場合も注意が必要です。
長時間ぬくぬくと同じ場所でくつろいでいると、ワンちゃんの皮膚も低温やけどになってしまいます。特に体温調節機能が低下してきたシニアのワンちゃんや、寒さに弱いシングルコートのワンちゃんは低温やけどにならないような配慮をしてあげてください。
10)暖房器具の「誤飲」
パピーは見るものすべてに興味を持ちます。ストーブやこたつのコードなどを噛んでしまう、または嚙みちぎってしまうパピーもいるでしょう。感電の危険性もあるため、コードにカバーをつけるなどの対策をしてください。
また、リモコンはワンちゃんに好きなもののひとつです。咥えやすいため、振り回したり嚙んだりします。リモコンが壊れる可能性もありますし、ボタンが取れてワンちゃんが誤飲してしまうこともありえます。絶対にワンちゃんが届かないところに置くようにしてください。
さらに灯油の補充時も注意が必要です。床に垂れてしまった灯油の臭いを嗅いだとき、うっかり鼻についてしまった灯油を舐めてしまうかもしれません。
灯油の補充は、ワンちゃんが近づけない状態にしてするように心がけてください。
まとめ
冬の時期にワンちゃんに起こりやすい病気や怪我のトラブルについてご紹介しました。
乾燥は大敵であり、水分を摂ることはとても大事だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
ワンちゃんはお話することができないので、体に不調が起こっていても我慢してしまうこともありえます。
飼い主さんが冬に注意すべき病気や怪我を知っていて、ワンちゃんの普段と違う様子に早めに気づいてあげることが重要です。
もし、ワンちゃんが元気がない、食欲が落ちたなどの気になる様子がみられたら、迷わず動物病院を受診するようにしてください。