ワンちゃんに耳掃除をしよう!注意点や耳の病気についても解説
ワンちゃんの耳はひとと違う構造をしているため、耳掃除をするときは正しい知識を持って行うことがとても大切です。今回はワンちゃんの耳掃除をする注意点と、耳が清潔でないためになってしまう病気について解説します。また、やってはいけない耳掃除の方法についても詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてください。
ワンちゃんの耳掃除について
ワンちゃんは、耳の奥にある耳垢を外に押し出す自浄作用を持っているため、基本的に耳の掃除は、目に見える範囲だけをきれいにするだけでOKです。
そもそもワンちゃんの耳の構造は、ひとと違い、耳の中がL字の形になっていて、ひとが耳掃除を行うように、綿棒や耳かきで耳垢を取るようなことは不可能です。
複雑な構造をしているため、飼い主さんが中まで掃除をすることは避けるべきです。
飼い主さんが行うワンちゃんの耳掃除は、「目に見える範囲をきれいにする」ということがベースとなります。
それでは、このベースとなる耳掃除をする必要性と注意点について解説していきます。
耳の病気の発見に繋がる
耳を掃除することにより、ワンちゃんが耳の病気になっているかどうか、わかる場合もあります。耳垢の状態や色を見ることにより、耳に異常があるかどうか知ることができるでしょう。
梅雨時期は雑菌の繁殖に注意したい
高温多湿になる梅雨時期は、湿度によって耳が蒸れてしまい、雑菌が繁殖しやすくなります。
特に垂れ耳のワンちゃんは湿気がこもりやすいため、注意が必要です。
トイプードルやシーズー、ダックスフンド、ゴールデンレトリバーなど、垂れ耳のワンちゃんは湿気がこもりやすい傾向にあります。
垂れ耳を持ち上げてみて、皮膚が赤くなっていないか、耳から異臭がないかをこまめにチェックするようにしましょう。
耳が蒸れるという点では、シャンプー後や、雨の日の散歩後も同じです。しっかりと乾かすことで雑菌の繁殖を抑えられるので、やさしく拭いてあげてくださいね。
ワンちゃんに多い耳の病気
ワンちゃんが耳の病気になっている場合、以下のように耳垢の色やにおいに異常がみられたり、行為に変化があったりするようになります。注意深く観察してみてください。
耳垢が黒色または茶色の場合
マラセチア性外耳炎や細菌性外耳炎になっている可能性があります。
原因として考えられるのは、耳垢が溜まっている、アレルギーを起こしているために耳の中の環境に変化が生じているなどです。
ワンちゃんが頻繁に頭を振るようになったり、耳を搔いたりする行為が目立つようになった場合は、できるだけ早めに動物病院を受診すべきです。
耳垢が黄色の場合
耳の中の皮膚に細菌感染が起こっている可能性があります。
症状が進むと、膿をふくんだドロッとした黄色の耳垢になり、異臭が発生します。
この場合、耳に強い痒みがあるため、ワンちゃんは頻繁に後ろ足で耳を掻いてしまいがちです。耳の周りの毛が抜けて、皮膚を傷つけてしまうこともあります。
この状態のまま放置をしてしまうと、外耳炎→中耳炎→内耳炎に進行してしまいます。
さらに悪化すると、頭が片方に傾いたままになってしまったり、同一方向にくるくる回り続けたりするなど、神経症状に異常が出てきてしまう可能性もあります。
耳垢が黄色で異臭があるときは、早急に動物病院を受診すべきです。
耳垢が赤黒い色の場合
ミミヒゼンダニによるミミダニ症に感染している可能性があります。
ミミヒゼンダニは0.5ミリほどの大きさで、外耳道に寄生し、強い痒みや異臭が起こる感染症です。
赤黒い色の耳垢は、ミミヒゼンダニがワンちゃんの耳を吸血した後に出したフンです。
ミミヒゼンダニは、ワンちゃんや猫ちゃんをはじめ、動物の耳の中だけに寄生する厄介なダニです。
多頭飼いをしていたり、他の動物も飼っていたりするご家庭では、1匹が感染すると他の子たちにもうつる可能性が高くなるため、特に注意が必要です。
早急に動物病院を受診し、適切な処置をしてもらえれば、2~3回の通院で治ります。
耳が異様ににおう場合
ワンちゃんの耳に何かしらのトラブルが起こっているときは、硫黄のようなにおいや、腐ったようなにおい、酸っぱいにおいがするようになります。
感染症にかかっている、炎症を起こしている可能性が考えられるので、早めに動物病院を受診してください。
ワンちゃんの耳掃除の基本的なやり方と目安
ワンちゃんの耳掃除の基本的なやり方をご紹介します。自宅でケアをしてあげるときの参考にしてくださいね。
ワンちゃんの耳掃除の基本方法
【用意するもの】
・ガーゼまたは
・ワンちゃん専用のイヤークリーナー
【手順】
(1)耳に触れても大丈夫なようにワンちゃんをリラックスさせる
(2)ワンちゃん専用のイヤークリーナーをガーゼに染み込ませる
(3)目に見える範囲の汚れをやさしく拭き取る
(4)終わったらワンちゃんを褒め、ご褒美のおやつをあげる
耳掃除をする目安
汚れていないかどうかのチェックは毎日行いましょう。耳掃除は月に一度を目安としてください。
清潔にすることはよいことですが、耳掃除を頻繁にやり過ぎると、ワンちゃんの肌が荒れたり、耳の中を傷つけてしまったりすることもあります。
外から帰宅後に汚れが目立つ場合のみ、かるく拭く程度でOKです。
やってはいけない耳掃除の方法
飼い主さんがワンちゃんの耳掃除を行うときに、やってはいけない6つのことがあります。ぜひ参考にしてください。
綿棒や耳かきの使用はNG
ひとが耳掃除をするときに使う綿棒や耳かきの使用は避けてください。耳垢が耳の奥に入り込んでしまい、外耳炎になりやすくなってしまいます。
耳垢はワンちゃんが頭を振ったときに自然と出てくることもあるので、取り除くことにこだわらなくても大丈夫です。
消毒用アルコール・ウェットティッシュの使用はNG
アルコール成分が入っているウェットティッシュは、ワンちゃんの肌や毛には消毒作用が強く働きすぎてしまいます。
ワンちゃんの皮膚を守っている常在菌を死滅させてしまったり、かぶれて炎症を起こしてしまうこともあるため、ワンちゃん専用のウェットティッシュを使用するようにしてください。
人間の赤ちゃん用のおしり拭きにも防腐剤や洗浄剤が入っているものもあるため、ワンちゃんへの使用は避けましょう。
耳毛を抜いてはいけない
ワンちゃんの耳の入り口に生えている毛は、外から汚れなどが入らないようにする役目を持っています。
耳毛に拭いても取れないほどの頑固な汚れがある場合は、動物病院またはトリミングサロンなどでプロにお願いしたほうが賢明です。
耳はデリケートな部分なので、素人が独自の方法で抜いてしまうと、ワンちゃんがとても痛い思いをしてしまいます。
また、耳毛をカットする行為も危険を伴うため止めましょう。ワンちゃんが嫌がって暴れ、ワンちゃんも飼い主さんも怪我をしてしまうこともあるので絶対に止めてください。
強くこすり過ぎてはいけない
目立つ汚れをきれいにしようとするあまり、ゴシゴシと強く拭いてしまいがちですが、これもワンちゃんの肌が荒れる原因となります。
特に注意したいのは、耳の内側の部分です。強くこすり過ぎたために、傷ついてしまい、そこから最近に感染してしまうこともあるのです。
ワンちゃんが「耳を触らせると痛いことをされる」と認識してしまわないように、耳掃除の際はやさしく撫でるように行うようにしましょう。
頻繁にやらない
耳掃除の基本法でもお伝えした通り、ワンちゃんの耳掃除は月に一回が目安です。頻繁にやり過ぎると、耳の中を傷つけてしまったり、外耳炎になりやすくなります。
こまめにチェックをしてみて、汚れが気になるときはかるく拭く程度にとどめましょう。
無理強いはしない
ワンちゃんが耳掃除を嫌がる場合は無理にやらないようにしましょう。
特に、大声を出したり、押さえつけたりするとワンちゃんは耳掃除がトラウマになってしまいます。耳を触らせることすら拒否するようになる可能性もあります。
まずは耳掃除に慣れさせることがポイントです。
おやつを与えながら行ったり、短時間で済ませるようにしたりなど、徐々に慣れてくれるようにしてあげてくださいね。
普段から、スキンシップやマッサージケアのなかに、耳を触ることも取り入れて、抵抗感を持たせないようにすることもおすすめです。
まとめ
ワンちゃんの耳掃除についての基本は、「目に見える範囲をきれいにするだけでよい」ということがわかりました。
また、
・月に一度が目安
・湿らせたガーゼやタオルを使う
・綿棒や耳かきを使ってはいけない
・やさしく拭く程度
このようなこともわかりました。
耳掃除をすることで、耳の病気を発見できることもあります。
しかし、聴覚が発達しているワンちゃんにとって耳は、大変デリケートな部分に当たるため、耳を触られることを極端に嫌がる子も多いです。
そのため、パピーの頃から、体のあらゆる部分を触らせることに慣れさせることは、非常に重要な意味を持っているのです。
耳掃除のときに、ワンちゃんがおとなしくしていられたら、たくさん褒めたり、ご褒美のおやつをあげたりして、慣れてもらえるように飼い主さんが根気よくトライする必要があります。
お散歩やお出かけなど外から帰宅したときは、濡らしたガーゼやタオルでやさしく撫でるように拭いてあげるといいですね。
あまりにも汚れが目立つときは、動物病院またはトリミングサロンでプロにお願いすることをおすすめします。
耳の中からきついにおいがする場合は、絶対に放置することなく、できるだけ早めに動物病院を受診するようにしてくださいね。