ワンちゃんが下痢になったときの食事と考えられる原因・対策法を解説
ワンちゃんが下痢になってしまうと、とても心配になりますよね。ワンちゃんの下痢にはさまざまな原因が考えられます。今回はワンちゃんが下痢になったときの考えられる原因と、飼い主さんができる対策法、下痢の症状があるときの食事、動物病院を受診する見極めポイントについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
ワンちゃんが下痢のときに考えられる原因とは?
ワンちゃんが下痢を起こしてしまうには、さまざまな原因が考えられますが、早急に原因を突き止めることが大切です。
一般的にワンちゃんの便は、ティッシュなどで掴んだときに、形状が保たれたままなら正常な便だといわれています。
掴んだときに形が崩れたり、色が赤や黒だったり、ゼリー状になっているうんちだと胃腸の状態がよくない可能性が高いです。
それでは、ワンちゃんが下痢になる代表的な原因を3つご紹介していきます。
食べたものが原因の場合
ワンちゃんが口にしたもので下痢を起こしてしまった場合、大きく分けて4つのことが考えられます。ひとつずつ見ていきましょう。
おやつやフードが合っていない
いつもと違う新しいおやつやフードを与えたときに下痢を起こすワンちゃんもいます。
これまで与えたことのない食べ物をあげるときは、少量ずつ与え、2~3日は便の様子をよく観察するようにしましょう。
フードを切り替える場合は、日数をかけてゆっくりと新旧のフードの割合を変更していき、ワンちゃんの様子と便の状態を見ながら行ってください。
また、下痢を繰り返しているのであれば、実はいつも食べているおやつやフードが合っていないことも考えられます。
食事の内容を見直す必要があるといえます。獣医師に相談してみましょう。
食物アレルギー反応を起こしている
特定のものを食べた後に下痢を起こす場合は、食物アレルギーを発症している可能性もあります。
「もしかしたらこの食べ物かも…」と心当たりのある飼い主さんは、その食べ物を避けてみてください。下痢がおさまる可能性もあります。
ただし、食物アレルギーは特定のアレルゲン物質を突き止めて、ワンちゃんに与えないようにすることが非常に大切です。
飼い主さんの自己判断で解決するのではなく、動物病院を受診し、アレルギー検査を受けることをおすすめします。
食べ過ぎている
食べ過ぎたことで胃腸が消化不良を起こし、下痢になるワンちゃんもいます。
ワンちゃんは勝手に食べることはできないので、飼い主さんがおやつやフードの給餌量を決める必要があります。
有害なものを食べてしまった
たとえばお散歩中ですが、ワンちゃんにとって有害とされる草花や落ちているタバコの吸い殻、ゴミなどを誤食し、下痢や嘔吐の症状を起こしてしまうこともあります。
ひどい症状になると、けいれんや意識障害、命を落としてしまうこともあるのです。
好奇心旺盛なパピーはどのようなものでも興味津々で、床や地面に落ちているものをくわえたり、舐めたり、口の中に入れてしまう危険性があります。
高齢になったワンちゃんのなかには、嗅覚や視覚が衰えてしまい、誤食する可能性も少なくありません。
お散歩中はワンちゃんから目を離さないようにして、室内でもワンちゃんの手が届く範囲に食べてはいけないものを置かないように注意しましょう。
ウイルスや細菌感染の場合
ウイルスや細菌感染の影響により、下痢の症状が起こることもあります。
代表的な感染症としては、犬バルボウイルス感染症、ジステンパーウイルス感染症、犬コロナウイルス感染症などのウイルス感染症、大腸菌、サルモネラ菌などの細菌感染、回虫や寄生虫などの寄生虫感染が挙げられます。
主な感染症はワクチン接種である程度予防できますが、完全ではないため、感染してしまった場合は下痢や嘔吐の症状がみられます。
ウイルスの動きが活発になる冬場は特に注意が必要です。ウイルスは、空気が乾燥し、湿度が下がると活発化して飛散します。
湿度と気温が低いと、ひともワンちゃんも体温が下がると同時に、ウイルスに対しての抵抗力も下がってしまいます。乾燥した空気の中で呼吸していると、のどや鼻の粘膜のバリア機能が低下し、ウイルスが侵入するため、体調が悪くなるというわけです。
また、寒い季節は暖房をつけてお部屋の温度を高くすることが増えてきますよね。
しかし、ワンちゃんは暑さを感じるとパンディングをするので、口や鼻からウイルスが侵入しやすい状態に陥ります。
ワンちゃんが過ごすお部屋の温度や湿度、空気の乾燥、水分補給をさせることに十分気をつけてあげてくださいね。
ストレスがかかっている場合
ストレスが原因で下痢を起こしてしまうワンちゃんもいます。
ストレスによって自律神経の働きが乱れてしまい、消化器官の動きが悪くなってしまうという理由からのようです。
ワンちゃんがストレスに感じることは、長時間のお留守番、動物病院の受診、慣れていない場所への外出、飼い主さんとのコミュニケーション不足などが考えられます。
これらのストレスを解消してあげることで下痢の症状がおさまる場合もあります。
飼い主さんと長時間離れると下痢になりやすいワンちゃんは、分離不安症になっている可能性も否定できないので、一度獣医師に相談してみるとよいでしょう。
ワンちゃんが下痢を起こしているときの対処法
ワンちゃんが下痢を起こし始めたとき、食事などをどのようにしてあげたらいいのか悩む飼い主さんも多いでしょう。
ここでは飼い主さんができる2つの対処法をご紹介します。
下痢の症状が現れ始めた初期段階に、ご紹介する2つのことを意識して対応してみてください。
水分補給させる
下痢をしているときは体内の水分まで失われてしまい、脱水症状に陥りやすいため、積極的に水分を摂らせるようにしましょう。
ただし、一度に大量のお水を飲むと胃腸に負担がかかってしまいますので気をつけてください。
消化のよい食べ物を与える
下痢をしているワンちゃんは、おおむね消化機能が弱っていることが多いといえます。
消化吸収のよい食べ物を選んで与えてあげてください。
普段食べているフードに少量のお水やお湯をかけ、やわらかくすると消化がしやすくなります。
下痢をしていても食欲があるときは、高タンパクで低脂質の鶏肉や白身魚、サーモン、食物繊維が豊富なサツマイモ、かぼちゃなどを与えてあげるとよいでしょう。
しかし、一回に与える量は少なめにすることが重要なポイントです。
特に食物繊維を多く含んでいる食材は、便を固形化する働きがありますが、一度にたくさん食べると胃腸に負担がかかりやすいともいわれています。少量ずつ与えながら、時間をかけて様子をみるようにしましょう。
下痢の症状がおさまるまでは、消化のしにくい硬いジャーキーやクッキー、体を冷やしやすいキュウリやトマト、脂質の多いお肉は避けたほうがよいです。
1~2日ほどしても下痢がおさまらないときは、動物病院を受診しましょう。
動物病院を受診するべきか、悩むときの見極めポイント
動物病院を受診するべきか、悩む飼い主さんも多いでしょう。
悩む理由としては、「下痢をしているけれど食欲も元気もある」ではないでしょうか。
下痢をしていても、元気があって食欲があるときは、2日ほど様子をみてもよいかもしれませんが、便の形状や色、においなどの観察は引き続き行ってください。
しかし、以下の3つが当てはまる場合は、できるだけ早く受診をすべきです。それぞれ見ていきましょう。
(1)有害なものを食べてしまったとき
ワンちゃんにとって有害なものを食べてしまったとわかる場合には、すぐにでも動物病院を受診するべきです。
玉ねぎなどのネギ類やチョコレート、ぶどうやレーズン、キシリトールなどは一口でも食べてはいけません。舐めることも危険です。
また、鶏の骨、画鋲、釘など先端の尖ったものを誤飲してしまうと、胃や腸に刺さってしまい、消化器官に穴が開いてしまいます。すると腹膜炎を起こし、下痢、嘔吐、発熱、腹痛などの症状が現れ始めます。
どのようなものを誤飲してしまったか答えられるようにし、ただちに動物病院を受診してください。
(2)下痢のほかにも症状がみられるとき
下痢のほかに嘔吐している、元気がない、ぐったりしている、落ち着かない様子でいるときは、できるだけ早く動物病院を受診するようにしましょう。
下痢や嘔吐を繰り返しているうちに脱水症状になっていて元気がないのかもしれません。
逆に落ち着かない様子であれば、お腹が痛すぎて苦痛を感じていることもありえます。
また、もしかしたら何か有害なものを口にしてしまっていて、ワンちゃんがSOSを出している可能性も考えられます。
(3)下痢の便の色がおかしいとき
一般的に下痢の便の色は、茶色もしくは薄茶色であることが多いでしょう。
しかし、あきらかに血が混じっている、鮮明な黄色もしくは緑色、黒っぽい色をしている、ゼリー状粘液が混じっているときも受診するべきです。
見慣れない便の色である場合は、体内で何かしらの病気が発生してしまっているかもしれません。
早めに受診すれば、回復への日数も早くなる可能性が高まります。飼い主さんは自己判断で済ませることはせず、獣医師に診せてください。
動物病院を受診するとき
動物病院に連絡をすると「できれば便を持ってきてください」と言われることが多いです。病院に到着し、便を渡せばすぐに検査ができ、獣医師が処置をしやすくなるでしょう。
また、下痢を起こしてからのワンちゃんの様子や便の回数、量、状態などの情報は診察に役立ちます。観察していたことを落ち着いて伝えてくださいね。
まとめ
ワンちゃんに下痢の症状がみられたときは、原因に合った対処法をすることが大切です。
ワンちゃんが下痢になってしまったとき、飼い主さんができることは、水分補給をさせること、消化のよい食べ物を与えることです。
しかし、1~2日経っても下痢の症状がおさまらない場合は、動物病院を受診すべきです。
有害なものを口にしてしまった時点では、できるだけ早く動物病院に連れて行ってください。
下痢を起こす原因はさまざまですが、ワンちゃんからのSOSサインと捉え、見逃さないようにしましょう。