犬はひとの感情に敏感!察する能力の高さを解説
飼い主さんが悲しんだり、家族内で喧嘩が起きたりしたとき、犬がそばに寄ってきたことはありませんか?犬は飼い主さんの喜怒哀楽を感じ取り、察する能力があるといわれています。今回は犬がどのようにひとの感情を察しているのかについて詳しく解説します。
犬がひとの感情を察する方法とは?
犬がひとの感情を敏感に察知している背景には、優れた3つの器官の能力が関連しているといわれています。
それは「嗅覚」「聴覚」「視覚」です。
犬は、鼻、耳、目から得る情報を元にひとの感情を敏感に察するのです。
では、どのように情報を収集しているのかを詳しく解説していきます。
『嗅覚』においを嗅ぎ分けて察する方法
察する方法として最も高い能力を発揮するのは「嗅覚」です。
犬の嗅覚は、一般的にひとの約10万倍から、非常に鼻が利く子だと100万倍ともいわれています。驚いてしまいますよね。
犬の鼻は高性能であるため、においを嗅ぎ分けて、情報収集をします。
お散歩中にあらゆる場所のにおいを嗅ぐ行為は情報収集のためです。
また、よその犬と鼻と鼻をチョンとしたり、お尻のにおいを嗅ぎ合うのは挨拶の意味もあり、お互いにどういう子なのか、仲良くなれるのかなどを判断するためでもあります。
嗅覚に優れている犬ですが、トレーニングによってさらに能力を伸ばし、ひとと一緒に社会で仕事をする子もいます。
災害時には行方不明のひとを探したりする人命救助犬、爆弾・薬品などを見つけたりする探知犬として活躍している犬もいますね。
しかし、嗅覚でひとの感情を読み取るとは、どのようなことなのでしょうか。
犬には、においを感知する特殊な神経細胞「嗅覚受容器」が3億個以上あるといわれています。
対してひとは約600万個ほどしかないので、嗅覚の能力差は歴然です。
ひとはさまざまなシーンで汗をかきますが、汗の成分はそのときの感情で変化するそうです。
恐怖を感じたときの汗と、嬉しさや悲しみを感じたときの汗にはにおいに違いがあり、異なる成分が分泌されます。
犬はひとの汗のにおいを嗅ぎ分けていて、その時々の飼い主さんの感情を感じ取っているのです。
汗の成分の違いによって感情を読み取れるなんてすごいですよね。
『聴覚』飼い主さんの声のトーンを聞き分けて察する方法
犬は飼い主さんの声のトーンを聞き取る能力、すなわち聴覚も優れています。
飼い主さんが犬に向かって話しているとき、犬の耳が前方向に向いているときは、話に集中している証拠です。
犬の目が輝いているように見えるときは、ワクワクしながら聞いているように見えます。
このときは、「おやつ食べる?」や「お散歩行こうか?」など、犬が楽しみにしている言葉を「飼い主さん、言うかな〜」と期待しているのかもしれません。
また、犬が首を斜めに傾けているときは、初めて聞く音や言葉などを懸命に理解しようとしている行為といわれています。
聞き覚えのない音や言葉が多いパピー期によく見られる行為のひとつでもあります。
いずれにしても、「飼い主さんが話しているから、ちゃんと聞かなきゃ」と思っているのです。本当に賢くて健気ですよね。
そして、犬の聴覚が優れているのは、声のトーンを聞き分ける能力です。
例えば、明るいトーンで話しかけると、犬は喜んだり、リラックスするようになります。
逆に怒ったトーンで話しかけると、犬はおびえたり、ソワソワしたりする様子を見せるでしょう。
ですから、トレーニングの最中は、褒めるときはやさしく明るいトーン、犬が指示と違うことをしたときは低めのトーンにするなど、言葉に抑揚をつけると犬の理解力が向上します。
このようなことから、犬は飼い主さんの声のトーンから感情や意図を読み取っているといわれているのです。
『視覚』飼い主さんの表情を目で見分けて察する方法
犬はにおいの嗅ぎ分ける能力と、声のトーンを聞き取る能力と同様に、飼い主さんの表情から心境を読み取る能力にも優れています。
犬はひとの顔の微妙な変化を敏感に感じ取ることができるといわれています。
特に、毎日接している飼い主さんの表情の変化を認識できていて、飼い主さんの感情を理解することができるともいわれています。
例えば、笑顔で接すると犬は喜び、悲しい表情で接すると犬も悲しんでしまいます。
飼い主さんが嬉しそうにしているときは、目をキラキラさせたり、尻尾を振ったりして、一緒に喜んでくれるような仕草をする犬も少なくありません。
また、飼い主さんが悲しくて泣いているときや、体調不良で横になっているとき、そっと寄ってきて体をくっつけてくる犬もいます。
このように、犬は飼い主さんの喜びや悲しみ、怒りのときの表情の変化をよく見ていて、どのように接したらいいのか理解しているといえるでしょう。
犬と上手にコミュニケーションを取りたい場合、飼い主さんの表情は非常に重要な要素となるのです。
犬に理解してもらうためには、喜怒哀楽がハッキリしていたほうがよいともいえますね。
察する能力の高い犬の特徴とは?
飼い主さんがたくさんの愛情をかけてお世話した犬ほど、飼い主さんの変化を察する能力は高いといわれています。
飼い主さんが悲しくて泣いているとき、目から流れる涙を舐めようとする犬もいます。
また、具合が悪くて横になっている飼い主さんのそばに寄り添う犬もいます。
このように察する能力が高い犬には、当てはまる特徴が2つあります。
それぞれ詳しく解説していきますね。
特徴(1)においと声と表情の変化から感情を読み取ることが得意
ひとつ目の特徴は、「飼い主さんの汗のにおいや声のトーン、表情の変化に敏感に反応し、感情を読み取ることが得意」であることです。
犬の感受性には、さまざまな要素が影響を与えます。
例えば、生まれ持った性格や環境の影響、飼い主さんとの関係性などが挙げられます。
これらの要素が組み合わさることで、犬の感受性は形成されるのです。
普段から飼い主さんのことをよく見ている証拠でもあります。
特徴(2)周囲の状況に敏感で繊細な性格をしている
ふたつ目の特徴は、「周囲の状況に敏感に反応することから、繊細な性格である」ことです。
空気感を読むことに優れているため、とても賢い犬といえるでしょう。
しかし、敏感すぎるがゆえに、吠える、唸る、攻撃的になることも少なからずあります。
家族内で言い争いをしているとき、そばに寄ってきて吠えたり、落ち着かない様子でうろうろしたりする犬もいます。
日常ではあり得ないことが起きている状況に反応しているのでしょうね。
飼い主さんはこのような犬の特徴を理解し、適切なコミュニケーションとケアを行うことが大切です。
感受性の高い犬との絆を深める方法
個体差はありますが、一般的に犬は察する能力である高い感受性を持っています。
感受性を活かしてあげれば、トレーニングにおいても優れた能力を発揮するでしょう。
犬は飼い主さんが出す指示の声のトーンと表情によって、どのように行動すればよいかを理解します。
トレーニングが成功したときは、飼い主さんの声のトーンは優しさを持ち、表情がにこやかになりますよね。
その声色と表情を感じ取った犬は「こうすればいいのだ」ということを学習します。
逆に不成功だったときの飼い主さんの声のトーンと表情はくもりがちになるため、「これではいけない」ということを学習するのです。
このようなことから、トレーニング中は飼い主さんが声のトーンに抑揚をつけ、表情にも変化を出すことがとても重要になるといえるでしょう。
そして、飼い主さんと犬のコミュニケーションがスムーズになればなるほど、より深い絆が築けるに違いありません。
まとめ
ご紹介した通り、犬はとても嗅覚・聴覚・視覚が優れています。
そして、犬の察する能力の高さに、驚いた経験を持つ飼い主さんは多いのではないでしょうか。
「泣いていたら寄ってきて、体を寄り添わせてきた」「家族間で言い争いをしていたら、吠えながら室内を駆け回っていた」など、飼い主さんの不測の事態と連動した行動を見せる犬もいます。
嗅覚では汗の成分を嗅ぎ分け、聴覚では声のトーンの聞き分け、視覚では表情の変化を捉えています。
本当に犬の能力の高さに驚かされますが、逆に犬の表情や仕草もよく見てあげてください。
飼い主さんも犬の表情や仕草をよく見て理解してあげると、コミュニケーションが取りやすくなります。
犬がリラックスして過ごすためには、飼い主さんが犬に明るい声で話しかけることや穏やかな表情を保つことが大切ですね。