
犬が便秘のときに役立つ食事と繊維の取り方
「愛犬が何日も便を出していない」と悩んでいる飼い主さんは少なくありません。犬が便秘になる原因のひとつには食べ物が大きく影響することがあります。特に食物繊維が足りない食事は便秘を引き起こすと考えられます。今回は犬の便秘を解消したいときに効果的な食材をご紹介します。

犬の便秘解消に効果的な食事とは?
愛犬が便を数日出していないと飼い主さんは心配になりますよね。
ひとと同じく犬が便秘になる原因はさまざまありますが、なかでも食べ物の影響は大きいです。
便秘を解消するには、食物繊維が豊富な食材と水分補給ができる食材を取り入れてみることが改善につながりやすいといわれています。
それでは犬の便秘の改善に役立つ食事について見ていきましょう。

食物繊維が豊富な野菜類
繊維質が多く含まれている食材を積極的に摂ることで、犬の腸の動きを活発にし、スムーズな排便を促す効果が期待できます。
犬が食べても大丈夫で、食物繊維が多く含まれている野菜は、
・かぼちゃ
・さつまいも
・キャベツ
・ブロッコリー
これらの野菜類は生のまま与えるのではなく、味付けなしで茹でる、焼く、蒸すなどの加熱調理したものを冷ましてから与えてください。
そして愛犬が食べやすいサイズにカットしてから与えましょう。
ドッグフードのトッピングにもなりますし、おやつとしてあげてもいいですね。
腸内環境をサポートする効果のある果物類
犬の便秘解消に役立つ代表的な果物には、りんご、バナナが挙げられます。
りんごには腸内環境を整える効果のある食物繊維のペクチンが含まれているため、便をやわらかくする作用があります。
さらにペクチンは、善玉菌を増やして悪玉菌を減らす働きもあるので、りんごは便秘解消に効果的な食材だといえるでしょう。
バナナには食物繊維やオリゴ糖、マグネシウムが含まれているため、便をやわらかくして便通をスムーズにする効果が期待できます。
ただし、果物類は糖質が多いので与えすぎると肥満につながりやすくなります。気をつけてくださいね。
水分量が多めのもの
水分は犬の便を柔らかく保ち、排出をスムーズにするために重要な要素です。
一般的に健康な便には、およそ70~80%の水分が含まれているといわれています。
十分な水分を摂取していないと、便が硬くなり、排便が困難になることがあります。
そのため、水分が不足しがちな犬は、便秘になる傾向が見られます。
犬に水分補給をさせるためには、次のような対策がおすすめです。
・ドライフードに水や犬用ミルクを加える
・普段の主食をウェットフードにする
・水分量を多く含む野菜(キャベツ・レタスなど)を与える
このように、犬が必然的に水分を摂れるような食事を与えるとよいでしょう。
また、日常的に新鮮な水をきちんと用意しておき、飲みやすい環境を整えることも大切です。
善玉菌を含むもの
善玉菌を豊富に含む食材といえば、ヨーグルト、納豆を思い浮かべるひとも多いでしょう。
どちらも犬が食べても問題のない食べ物です。
ヨーグルトは、善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果がある乳酸菌、ビフィズス菌が含まれています。
ヨーグルトを好んで食べる犬も多いですが、砂糖を加えていないプレーンタイプのものを与えましょう。
納豆も善玉菌が多く含まれているため、便秘解消に適した食べ物といえます。
納豆特有のネバネバのない犬用納豆も市販されていますので、試してみてもよいかもしれません。

便秘がちな犬のおやつ選び
おやつにも食物繊維が使われているものを与えるとよいですね。
さつまいもを蒸したり、かぼちゃやキャベツを茹でたり、食材の味を活かした素朴なおやつは、犬の胃腸にやさしく、消化機能を整えてくれます。
加熱したものを食べやすいサイズにしてそのまま与えてもいいですし、小麦粉や米粉に混ぜてホットケーキにするのもおすすめです。
また、市販されているさつまいもやかぼちゃを原材料としたクッキーやボーロなどもあります。
甘くてサクサクとした食感を好む犬は多く、たくさんほしいとおねだりをしてきますが、おやつの食べすぎは肥満の原因になります。与えすぎには注意しましょう。
犬が便秘になる食事以外の原因と対策法を知ろう
ここまで犬の便秘解消によい影響を与える食べ物についてご紹介しました。
しかし、犬が便秘になるには、ほかにも考えられる原因があります。
食事以外に考えられる原因と、日常生活で飼い主さんができる対策法もご紹介しますので参考にしてみてください。

運動不足
運動不足は犬が便秘になってしまう大きな原因のひとつです。
日常の散歩や遊びを増やすことで、腸内の動きを活発にすることが期待できます。
特に散歩は、腸の動きを活発にする効果的な運動になるため、毎日の習慣にしたいものです。
散歩中に犬が「もう少し歩きたい」とサインを出す場合は、もしかすると犬自身が便を出すタイミングを計っていることもあります。
愛犬からのサインをキャッチしたときは、しばらく付き合ってあげてみてくださいね。
運動を増やすことは腸の働きを促す効果が上がるとともに、肥満対策にもつながり、一石二鳥の結果をもたらします。

ストレス
ストレスも犬の便秘の原因として考えられます。
たとえば、引越しで住居環境が変わったり、家族の人数に増減があったり、新しくペットを迎え入れたりすることは、犬によってはかなりのストレスと感じるケースもあります。
また、生活リズムに乱れが生じると、便秘を起こす犬も少なくありません。
食事や散歩、寝る時間など、規則正しい生活スケジュールや安心できる環境を整えることが効果的です。
さらに、飼い主さんは愛犬と共有する時間をもつようにし、スキンシップをとることで、心の負担を軽減することができます。

排せつの環境
犬が快適に排せつできる環境を整えることも便秘対策には有効な手段です。
室内で排せつする犬の場合は、トイレの場所が家族が集まるリビングや、テレビなどの音が近くに聞こえる場所だと落ち着かず、排せつを我慢してしまうことがあります。
静かでリラックスできる場所にトイレを設置し、常に清潔な状態を保つようにしましょう。
また、排せつのタイミングを習慣化するためには、決まった時間にトイレタイムを設けるのも効果的です。
一方で外でしか排せつしない犬の場合は、排せつしやすい場所をいくつかおさえておき、それらのポイントを周りながら歩くとよいでしょう。
排せつのタイミングや環境の改善を進めて習慣化すると、犬がストレスなく用を足せるようになる可能性が高まります。

加齢によるもの
個体差がありますが、犬も年を重ねると、散歩の距離が短くなったり、活動量が減ったりします。
そのため、消化機能に低下がみられ、便秘を引き起こしやすくなります。
年齢に合わせた食事内容の見直しや運動量の調整、定期的な動物病院での健康チェックなどが便秘の解消につながりやすくなるでしょう。
また、足腰が弱ってきたシニア犬は、排せつのポーズが関節や筋肉に負担となるため、便秘になることも考えられます。
介護用ベスト、歩行補助ハーネスなどを装着して飼い主さんが補助をすれば、自力で立って排せつしやすくなります。
飼い主さんも楽なので導入を検討してみてくださいね。
まとめ
犬が便秘のときに役立つ食事と繊維の取り方についてお伝えしました。
便は犬の健康状態を知る大切なバロメーターです。
愛犬が便秘がちな場合は、まずは食物繊維が豊富で水分を補える食事内容に見直しをしてみましょう。
食物繊維が豊富で水分補給がしやすい食べ物は、
野菜類:かぼちゃ、さつまいも、キャベツ、ブロッコリー
果物類:りんご、バナナ
これらの食べ物は犬が食べても大丈夫で、多くの犬が好む食べやすい食材です。
また、ヨーグルトや納豆など、善玉菌を含む食べ物も便秘には効果があるといわれているので、取り入れてみてもよいかもしれません。
しかし、食事や運動による解消法で改善がみられない場合や、便秘と同時に食欲不振や嘔吐、元気がないといった症状がみられる場合は、早めに動物病院を受診してくださいね。