
犬の皮膚トラブル対策!かゆみや乾燥を防ぐケア
愛犬の体を掻く仕草が目立ったり、皮膚が赤くなっていたりするのは皮膚トラブルが起きている可能性が高いです。皮膚病は治療が長引くことが多く、犬もストレスが溜まりやすくなります。皮膚病予防は日常的な対策とケアの習慣化が肝心です。そこで今回は、飼い主さんが心がけたい犬の皮膚トラブルの対策と予防についてお伝えします。

犬が皮膚トラブルを起こしているときに見られる症状
犬が皮膚トラブルを起こしているときは、次のようなことが見られます。
・頻繁に体を掻く、舐める
・頻繫に体を柱や床などにこすりつけている
・皮膚が乾燥しているor脂っぽい
・皮膚が赤い
・発疹やかさぶたがある
・フケが出ている
・換毛期ではないのに大量に脱毛する
これらの症状が見られる場合は、皮膚にトラブルが発生している可能性が高いです。
犬が皮膚トラブルを起こしやすい理由とと放置のリスク
犬が皮膚トラブルを起こしやすい原因と、皮膚トラブルを放置した場合のリスクについて見ていきましょう。

犬が皮膚トラブルを起こしやすい理由
犬の皮膚は人間と比べ、非常に薄くデリケートです。
犬の皮膚の厚さは、0.05mm〜0.1mm程度しかなく、成人した人間の約半分しかありません。
そのため、気温や湿度、生活環境下のハウスダストや埃、カビ、花粉、ダニなどの影響を受けやすいです。
また、遺伝的要因で皮膚病になりやすいといわれている犬種(柴犬・シーズー・トイプードル・パグなど)もいます。
しかし、個体差や生活環境の影響もあるため、あくまでも皮膚病の好発犬種ということに留めておきましょう。

放置によるトラブルのリスク
犬は体がかゆくなると、手や脚を使ってかゆいところを掻いたり、柱や床などにこすりつけたりするようになります。
この時点で皮膚トラブルを起こしていると考えられますが、この状態を放置するとさまざまな皮膚病にかかるリスクが高まります。
では、犬が起こしやすい3つの皮膚病についてご紹介します。

犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎は、ハウスダストや埃、カビ、花粉、ダニなどの環境中アレルゲンに対し、過剰反応してしまうことで起きる皮膚病です。
慢性的なかゆみが体の広範囲で起こり、かゆみのため体を搔きむしってしまったり、頭を振ったりする行為が頻繁にみられるようになります。
治療はステロイド剤や抗ヒスタミン剤などの内服薬と、かゆみの症状がひどい場合はかゆみ止めの注射を進められることもあります。
犬のアトピー性皮膚炎は完治することが難しいといわれていますが、アレルゲンを避け、定期的なシャンプーで皮膚や被毛の清潔を保つことで症状の緩和が期待できます。

膿皮症(のうひしょう)
膿皮症は、犬の体内にいる常在菌、主にブドウ球菌が異常に増えて起こる皮膚病です。
健康体であれば、常在菌はバランスが取れているので異常繫殖はしません。
膿皮症を発症する根本的な原因には、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー疾患が挙げられます。
また、ホルモンバランスの異常がある場合も膿皮症になる可能性が高いといわれています。
軽度の膿皮症ならば抗菌シャンプーを使用して様子をみますが、症状が進行した場合は抗菌薬の服用や注射による治療になるのが一般的です。

マラセチア皮膚炎
マラセチア皮膚炎は、犬の皮膚に常在するマラセチアという真菌(カビの一種)が異常繁殖して起こる皮膚病です。
犬が健康体のときは特に問題を起こす菌ではありません。
しかし、ほかの皮膚疾患がある犬や、甲状腺機能低下症など内分泌疾患がある犬などは、マラセチア皮膚炎を発症しやすいといわれています。
また、梅雨などの湿度が高い時期に発症しやすいです。
主に耳や脇、指の間などの皮脂が溜まりやすい部位に多くみられ、皮膚の赤みやかゆみ、被毛がベタベタする、独特の脂っぽいにおいがするのも特徴です。
一般的な治療法として、皮脂トラブルに特化した薬用シャンプー剤で洗うこと、抗生物質や抗真菌薬といった内服薬、塗り薬が挙げられます。
犬の皮膚病を予防する『スキンケア』
犬は人間よりも皮膚が薄くデリケートなため、日々のスキンケアが大切です。
ここでは、具体的なスキンケア方法をご紹介します。

ブラッシングの大切さ
ブラッシングは毛並みを整え、埃や汚れを取り除くだけではなく、犬の皮膚の状態を確認することもできます。
ただし、力を入れすぎたり頻度が高すぎると、逆にダメージを与える可能性がありますので注意が必要です。

シャンプーのケアポイント
シャンプー剤は犬専用の低刺激タイプがおすすめです。
シャンプー後はしっかりとタオルドライを行い、ドライヤーなどで完全に乾かしましょう。
乾かしたあとはすぐに皮膚と被毛の保湿ケアを行うことが大切です。

犬専用スキンケア用品で保湿する
皮膚が乾燥しやすい犬には、保湿スプレーやクリームなどを使い、乾燥肌にさせない予防が大切です。
低刺激で添加物が少ない犬専用の製品を選ぶことがポイントです。
犬の皮膚病を予防する『食事』
ここでは犬の皮膚病を予防する食事面についてお伝えします。

犬の皮膚を健康に保つ栄養素
犬の皮膚の健康維持には、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。
特に、ビタミンEやビタミンAは皮膚の新陳代謝を促進し、バリア機能を強化する働きがあります。
亜鉛やセレンといったミネラルには、皮膚や被毛の健康をサポートする効果が期待できます。
オメガ3脂肪酸(EPAやDHA)は抗炎症作用があり、乾燥による炎症やかゆみの軽減に役立ちます。
オメガ6脂肪酸は皮膚の潤いを保ち、しなやかな被毛を維持する効果があります。
犬の皮膚の健康を保つ食事とサプリメントの活用
犬の皮膚病予防には、前述した栄養素を含んだ食事を与えることが大切です。
フードには犬に必要な栄養素がバランスよく配合されていますが、市販品のなかには「皮膚の健康をサポート」するというものもあります。
そのようなフードには、犬の皮膚の健康を保つ栄養素が豊富に含まれているのが特徴的です。
また、サプリメントを活用するのもひとつの案です。
最近では、犬の皮膚や被毛の健康維持に役立つ犬用サプリメントも販売されています。
食事で栄養素を摂取することが難しい場合は取り入れてみてください。

水分補給を促す工夫
犬の皮膚を健康な状態に保つためには水分摂取も重要です。
冬場は暖房により室内が乾燥しがちで、それが皮膚トラブルの原因となることがあります。
いつでも新鮮な水を与えるように心がけ、水分摂取量が少ない場合はウェットフードなどを取り入れるのもよい方法です。

犬の皮膚病を予防する『生活環境づくり』
ここでは犬の皮膚病を予防する生活環境づくりについてお伝えします。
室内の湿度を適切に保つ
冬場は暖房器具を使用するため、室内の湿度が下がりがちです。
乾燥した空気は犬の皮膚に負担をかけ、皮膚トラブルを引き起こす可能性が高まります。
暖房器具を使うときは加湿器を併用して湿度を50%程度に保つと、犬の乾燥肌を防ぐ効果が期待できます。
暖房器具を使用するときに気をつけること
寒さを感じるとストーブやヒーターなどの前でくつろぐ犬もいますが、高温の風が直接体に当たっていると皮膚の乾燥が進みやすくなります。
皮膚の乾燥がひどくなると、かゆみや赤みといった症状が現れる場合があります。
できるだけ暖房器具に近づけさせない工夫をし、部屋全体が均等に温まるように気をつけましょう。
愛犬が快適に過ごせる寝床の工夫
愛犬がくつろぐベッドやゲージの位置は、暖房器具の近くではなく、直射日光や冷気が当たりにくい場所を選ぶことがポイントです。
また、月に1〜2回程度寝具を洗濯して清潔を保つことも大切なケアのひとつです。
まとめ
今回は犬の皮膚トラブル対策についてお伝えしました。
まず、愛犬の皮膚に異変を感じたときは、早めに動物病院を受診し、適切な治療を受けましょう。
皮膚トラブルを放置してしまうと症状はあっという間に進行し、二次感染を引き起こす可能性が高くなります。
皮膚病を起こさせないためには、日常ケアを行いましょう。
・ブラッシング
・月に1~2回程度のシャンプー
・皮膚の健康維持を意識した食事、サプリメントを与える
・適切な暖房器具の使用
・早急なアレルゲンの特定と除去
これらのことに気を配ることが大切です。
日常的なケアを継続して行うことにより、愛犬が皮膚トラブルを起こしにくい体質になる見込みも期待できます。
皮膚病は長期にわたって治療が必要になるケースが多いので、獣医師に相談しながら、家庭でできるケアをしてあげてくださいね。