成犬の保護犬を懐かせたい!迎えるときの心構えや注意点
保護犬を引き取りたい、温かい家に迎えたいと思っているけれど、懐くかどうか不安ではありませんか?特に成犬は懐かせるのが難しいと思うかもしれません。
しかし成犬でも懐きますし、新しい環境に慣れます。時間がかかるかもしれませんが、絆ができたときの感動は大きいものです。今回は、保護犬を懐かせるコツや迎えるときの心構えや迎えてからの注意点を解説します。
保護犬とは?
保護犬は、自治体の保健所や、動物愛護センター、民間の保護団体などに一時的に保護されているワンちゃんたちです。生まれた環境や、保護された状況はワンちゃんによってさまざま。
迷っていて保護されたワンちゃんもいれば、飼い主さんの病気などの事情で保護されたワンちゃんもいます。繁殖犬として酷使されたり、虐待を受けたりしていたワンちゃんも。どのワンちゃんも、新しい飼い主さん温かい家庭を探しています。
ただ子犬に比べ、成犬は懐きにくそうなどの理由からなかなかみつからないようです。
成犬の保護犬を迎えるのに向いている飼い主さん
ワンちゃんが好きな方ならだれでも保護犬の飼い主さんになれます。中でも次のような方は特に保護犬の飼い主さんに向いているでしょう。
・気持ちにゆとりを持ってワンちゃんに接することができる
・多少病気があっても、治療や世話が苦痛にならない
・しつけのやり直しも負担にならない
・ワンちゃんが吠えたりパニックになったりしても驚かない
・家を留守にする時間が短い
・家族や同居人が保護犬を迎えることを歓迎している
成犬の保護犬を迎えるメリット・デメリット
「懐かない」などネガティブな印象がある成犬の保護犬ですが、意外なメリットもあります。デメリットも合わせて紹介します。
メリット
・ある程度性格がわかっている
成犬で保護されているので、「陽気」「引っ込み思案」などある程度の性格がわかっています。
・体のサイズは変わらない
成犬なので、体は大きくなりません。予想していたより大きくなって大変というトラブルはないでしょう。クレートやサークル、敷物などを成長に合わせて変えていく必要がありません。
・食事や排泄の回数が落ち着いている
子犬は食事も排泄も回数が多いものですが、成犬になっていると落ち着いています。その点子犬から育てるより、お世話はある程度楽です。
デメリット
保護犬を受け入れるには、デメリットもあります。デメリットもすべて受け入れて、ワンちゃんを迎える気持ちが大切です。
・慣れるまで時間がかかる
子犬の社会化期を過ぎているため、新しい環境や人に慣れにくいケースもあります。特に虐待を受けていたワンちゃんは、なかなか心を開いてくれないかもしれません。
・問題行動を抱えているワンちゃんもいる
十分な食事を与えてもらえなかったなどが原因で、食糞してしまうワンちゃんがいます。ささいな現象にも驚いて吠える、トイレがうまくできないなどの問題を抱えていたり、人間不信になったりしているワンちゃんもいます。
・生い立ちがわからないワンちゃんがいる
どこで生まれ、どのような暮らしをしてきたかわからないワンちゃんも少なくありません。そのため、思いがけないトラウマを抱えている可能性があります。
叩かれていたワンちゃんの中には、人が手を差し出すだけで怖がったり、唸ったりする子がいます。ちょっとした物音にパニックになるかもしれません。
・病気を持っているワンちゃんもいる
歯周病や心臓疾患などを抱えているワンちゃんもいます。その場合、治療費や通院費などがかかってしまいます。
保護犬を懐かせるコツ
焦らず、ゆったり見守る気持ちが大切です。徐々に信頼関係を結んでいきます。
・ワンちゃんが安心して過ごせる環境作り
ワンちゃんの大きさに合ったケージを用意します。安心できる場所を作るためです。ケージの中には、心地よいベッドを入れてあげましょう。ケージを布で覆ったり、段ボールで囲ったりすると落ち着いて過ごせます。
ケージの置き場所は、ワンちゃんが飼い主さんを観察できて、しかも騒がしくないリビングの隅などがおすすめです。
・部屋を自由に探索させる
ワンちゃんがケージから出てきたら、部屋を思う存分探索させましょう。声をかけたり触ったりせず、あえて知らんぷりをする方がうまくいきます。ワンちゃんが過ごす部屋は、危険なものを片付けておいてください。
・おやつを置いて待つ
おやつを近くに置いてワンちゃんが近寄ってくるのを待ちましょう。声はかけず、ワンちゃんも見ません。食べても大騒ぎしないでください。「近づいてきたら、ワンちゃんの顔を見ないでおやつを与える」を何度も繰り返します。
ワンちゃんが怖がらずに食べるようになって初めて「いい子」など声をかけてください。おもちゃが好きなワンちゃんなら、おやつの代わりにおもちゃでもかまいません。
・ワンちゃんの「好き」を見つける
ワンちゃんを観察しているうちに、「散歩が好き」「ボール遊びが好き」などがわかってくるはずです。ワンちゃんは「自分の好きなことをしてくれる人」が大好き。好きなことをするとコミュニケーションが取れるため、絆がだんだんできてきます。
・どうしても慣れないときは
なかなか慣れない場合は、ドッグトレーナーや行動にくわしい獣医師に相談します。攻撃的になったワンちゃんは、早めに相談しましょう。
保護犬を迎えたときの注意点
ワンちゃんが家にきたら、次の点に注意して過ごしましょう。
・慣れるまで無理に触らない
早く懐かせようと無理に抱っこしたり、触ったりすると怖がってしまいます。やたらと声をかけるのも禁物です。
・飼い主さんの動きに注意する
ワンちゃんを怖がらせないために、飼い主さんは突然大声を出す、急に立ち上がるなどの行動を控えます。棒で叩かれた経験のあるワンちゃんは、掃除用の長いモップや傘などを怖がります。しばらくは見せないようにしましょう。
・ケージから引っ張り出さない
ケージに入って出てこないワンちゃんもいますが、決して引っ張り出さないでください。ケージは扉を開けたままにして、ワンちゃんに任せましょう。出てきても大声で喜ばず、静かに褒める程度にします。
・脱走に注意
保護施設に戻ろうと、家から脱走するワンちゃんもいます。戸や窓を開けたままにしないよう注意してください。迷子札もしっかり装着しておきましょう。
・叱らない
いたずらや粗相もしても叱らないようにしましょう。ワンちゃんとの信頼が築けなくなってしまいます。
まとめ
成犬の保護犬を引き取りたいと思っても「慣れないのでは」と心配になりますよね。しかし焦らずにゆったりした気持ちで接すると、ワンちゃんはだんだん心を開いてくれます。信頼を得たときの喜びはひとしおです。
家の中にケージを置いて、安心できる場所を作ってあげましょう。むやみに触れたり、声をかけたりせず見守ります。ワンちゃんの「好き」を見つけて、コミュニケーションを取るようにすれば少しずつ慣れてくるはずです。どうしてもうまくいかないときは、ドッグトレーナーや行動にくわしい獣医さんに相談しましょう。