犬が急に走り回るのはなぜ?『ズーミーズ』の秘密
愛犬が突然テンションを高くして走り回ったり、高速で回転したりする姿に驚いた経験を持つ飼い主さんは多いのではないでしょうか。これは「ズーミーズ」と呼ばれ、犬の感情や健康状態を表す行動のひとつです。今回はこのズーミーズについて詳しくお伝えします。起こる理由とケア方法について学んでいきましょう。
ズーミーズとは?基礎知識
愛犬が突然走り回ったり、高速で回転したり、まるでスイッチを押したかのように興奮状態になることありませんか?
これは「ズーミーズ」と呼ばれ、犬の感情や健康であることを表す行動です。
では、ズーミーズの基礎知識をご紹介します。
ズーミーズとは?
ズーミーズとは、犬が突然テンションを上げて走り回ったり、高速回転したりする行動を指す言葉です。
正式名称は「Frenetic Random Activity Periods」主に英語圏で使われる言葉で、日本語に直訳すると「熱狂的なランダム活動期間」となります。
直訳された日本語からも、犬がどのような状態かを容易に想像しやすいですよね。
ズーミーズは犬種や年齢、性別に関係なく、すべての犬に見られる行動です。
愛犬が急に走り回るその姿をユニークで愛らしいものとして捉える飼い主さんは多いでしょう。
この行動は主にエネルギーを発散したいときやよろこびを表すとき、またはストレス解消を目的として起こるといわれています。
ズーミーズを起こしやすい犬種と特徴
ズーミーズはすべての犬種で見られる行動ですが、特に柴犬やフレンチブルドッグのような、感情表現が豊かな犬種で起こりやすいといわれています。
また、エネルギーがあり余っている年齢の犬、運動量の多い犬ほどズーミーズが頻繁に見られる傾向があります。
一方で年齢を重ねて落ち着いてくると、ズーミーズの回数が減る傾向もみられます。
ズーミーズが起こる原因とは?
ではなぜ犬がズーミーズと呼ばれる行動を起こすのでしょうか。
原因について詳しくみていきましょう。
エネルギーの発散とストレス解消
ズーミーズを起こす原因は、エネルギーがあり余っていること、またはストレスによるものが多いです。
ズーミーズは感情表現の豊かな犬が起こしやすいと前述しましたが、ほかにも運動量の多い犬や活発な犬、パピーなどは、エネルギーを発散しようとする回数が多いため、自ずとズーミーズを起こす頻度が高くなります。
また、ストレスフルも原因として挙げられます。
拘束感を強く感じるシャンプーや、長時間ケージに入れられていたことから解放された直後は、リセットの感覚としてパワフルなズーミーズが起こりやすいです。
健康状態と行動パターンの関係性
ズーミーズの頻度や激しさは、犬の健康状態や日常生活とも関連しています。
十分な運動ができていない犬や、ストレスがたまりやすい環境にいる犬は、ズーミーズが起こりやすくなります。
一方で、病気やケガなどで体調がすぐれない犬は、ズーミーズを起こさないことが多いです。
また、シニア期以降の犬は精神的に落ち着くため、ズーミーズの頻度が少なくなります。
個体差がありますが、まったく起こさなくなる犬もいます。
ただし、「いつもならズーミーズを起こすタイミングなのにやらない」ことが続く場合は、健康状態がよくないのかもしれません。
心配なときは早めに動物病院を受診しましょう。
愛犬に与える飼い主さんの反応
ズーミーズを起こしたときの飼い主さんの反応も愛犬に大きく影響を与えます。
興奮状態の犬に対し過剰に反応すると、さらにエスカレートすることがあります。
一方で、飼い主さんがゆったりとした態度で見守ると、犬も落ち着きを取り戻しやすくなります。
犬の安全対策をした上で、犬が感情を解放する時間を尊重し、終わったあとに落ち着ける環境を整えてあげることが理想的なケア方法といえるでしょう。
ズーミーズを起こしやすいタイミング
ここではズーミーズを起こしやすいタイミングを4つご紹介します。
1.散歩から帰宅したとき
散歩は犬にさまざまな刺激を与えますが、それにより興奮し、冷めていない状態のまま帰宅したためズーミーズが起こりやすくなります。
ただし毎回ではなく、犬がとても満足した散歩だったときに起こりやすいようです。
しかしなかには「散歩が足りなかった」「もっと遊びたかった」という不満の気持ちからズーミーズを起こす犬もいるようです。
2.好きな犬・ひとに会えたとき
好きな犬やひとに会えたことがうれしくて、気持ちが最大限に高まるとズーミーズを起こす犬も多いです。
パピーの場合は、遊び相手を見つけたよろこびを表していると思われます。
3.シャンプーのあと
自宅でシャンプーをしたあとにズーミーズを起こす犬は多いようです。
シャンプーはお湯をかけられたり、体を拘束されたりするため、苦手意識をもつ犬は少なくありません。
そのため、終わって解き放たれた瞬間にスイッチが入り、室内中を猛烈に走り回ります。
これは間違いなくストレスを発散するためのズーミーズです。
4.トイレのあと
排せつ後、特に便をしたあとにズーミーズを起こす犬もいます。
これは「トイレハイ」と呼ばれ、排せつ後のすっきりした気持ちを表現しているといわれることが多いです。
しかし、排せつ中の無防備な姿を敵に狙われないようにするため、その場から早く立ち去りたいという本能から、排せつ後は猛ダッシュをするという説もあります。
5.楽しい場所に行ったとき
ドッグランなど、楽しい場所に行ったときにズーミーズを起こす犬も少なくありません。
犬が多数いることに興奮したり、リードが外されて自由になった解放感だったりと、日常生活では味わえない状況に気持ちが高ぶるのでしょう。
愛犬のズーミーズをケアする方法
愛犬のズーミーズをケアする方法についてお伝えします。
ズーミーズ中の安全管理ポイント
愛犬がズーミーズを起こしているとき、注意しなければならないのが「安全性」です。
家具や壁などに激突する可能性を防ぐため、走り回れるスペースを確保しましょう。
また、床に滑りやすいラグや、壊れやすい物を置いている場合は事前に片付けておくと安心です。
ズーミーズ中の愛犬を落ち着かせる方法
ズーミーズは犬にとってストレス発散やよろこびの感情を爆発させる時間であり、そのまま見守るのが基本的な対応です。
しかし、万が一興奮が長く続く場合や、安全管理が難しい場所では、落ち着かせる努力が必要です。
この場合、愛犬の好きなおやつやお気に入りのおもちゃを使い、落ち着くまで注意を引きつけましょう。
ズーミーズ後の愛犬へのケア方法
ズーミーズが終わったあとは、犬の体が疲れ切っていることが多いので、しっかりと休ませてあげることが大切です。
適切な温度が保たれた静かな場所に使い慣れたベッドや毛布などを用意して、愛犬がリラックスできる環境を整えてあげてください。
頻繫にズーミーズを起こさないためのケア方法
ズーミーズの頻度が多すぎるのでは?と思う場合は、まずは日常生活を見直しましょう。
日々の散歩や遊びの時間が不足しているとエネルギーが余り、頻繁にズーミーズを起こす原因になりかねません。
また、ストレスや退屈を感じさせない環境づくりも効果的です。
飼い主さんとの遊びやスキンシップなどを通じて、犬の心身の健康を保つようにしてみてください。
これらのケア方法を取り入れることで、頻繫なズーミーズは減り、無理なく落ち着いた日常を維持できることが期待できます。
まとめ
ズーミーズは犬がエネルギーを発散し、感情を最大限に表現する行動で、心身が健康的である証ともいえます。
愛犬がズーミーズを起こしたときは、どのような理由から起こしているのかを理解し、その姿を見守ることが大切です。
また、日常生活では散歩や適度な運動を取り入れて、エネルギーを適切に発散させることが大切です。
さらにズーミーズ中の犬の安全を確保し、健康管理や生活リズムを意識したケア方法も欠かせません。
しかし、頻度が多すぎるのではないかと心配なときは獣医師に相談しましょう。
愛犬のズーミーズ前後の行動や感情をよく観察し、個性を尊重しながら適切な接し方を探っていきたいですね。